TechLog 9/22 - 次世代メモリの現状把握
記事紹介
富士通セミコンダクター社から4Mビット不揮発性FRAMが発表されたという話(2018年9月なので結構前である)。FRAM(Ferroelectric RAM, FeRAMとも)とは強誘電体の分極保持を利用したメモリで、記事内ではデータ書き換えの高速性と書き換え回数の多さがメリットとしている。
具体的には、従来の汎用EEPROMでは5ms, 100万回書き換えに対して、このFRAMでは200ns, 10兆回(=10^13)という比較になる。
所感
大学院時代、研究室の別のグループが次世代メモリに関わっており、まだまだ研究段階という印象だったが、いつの間にか色々実現しているという。
次世代メモリでは主に書き換え回数と密度*1がキーポイントと思われ、その点FRAMの10兆回というのは十分実用に堪えうる。
一方、書き換え速度という観点はあまり考えたことがなかったが、記事にもあるように「異常時のデータ保持」ができる点は確かに強みである。
そもそも現在のメモリの問題点としては次のことが挙げられる
FRAM以外にMRAM、ReRAMといった次世代メモリの候補があるが、どちらに対しても「低消費電力」と「高信頼性」を強みとしている。
またフラッシュに対してはバイト(ビット?)単位での管理が可能なため管理が容易になるというメリットもあるとのこと。
データ容量(密度)と価格がまだまだネックで、実例を積み重ねつつ開発してコストを下げていく必要があるのがなかなか難しそうである。
3D化でNANDフラッシュがまだ一層最前線を走るんだろうなぁ..
実例
以下、富士通以外での実例を調べてみた
製品化
FRAM
https://www.mouser.jp/new/cypress-semiconductor/cypress-serial-fram/
Cypress社から SOIC-8パッケージの4Mbit品が実売。2000~3000円ほど
MRAM
レイテンシわずか6μsのMRAM採用NVMe SSD、SMART Modular「nvNITRO」 - エルミタージュ秋葉原
【福田昭のセミコン業界最前線】NANDの10倍、Intel Optaneの2倍の速度を実現するMRAM SSD - PC Watch
Everspin社から 40nmプロセスで作製された、256MbitのSpin Torque(ST)型MRAMチップ、およびアクセラレータ向けPCIe SSD(1GB)が2018年に出されている。
スペックは150万IOPS、Read 6us、Write 7us、シーケンシャル 6,000MB/s
SSDのキャッシュに使われている例がある。
3D XPoint
IntelとMicronが共同で開発しており、ほかの技術と違いチップでは製品化していないとのこと。
【レビュー】Intel Optane メモリーは、HDDキャッシュとしてどれだけ有用か - PC Watch
2017年4月にHDDキャッシュ用M.2型メモリ Optaneが発売されている。
容量は16GB, 32GB。シーケンシャルRead 1,350MB/s、ランダムRead 24万IOPS
なかなか苦戦している模様。